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小走りに斎場のホールに戻ると、出棺前のお別れが始まっていた。
「どこに行ってたの、早く早く」
父の姉に急き立てられて、父の前に歩み出る。
彼女が祭壇に飾ってあった花を手渡してくれた。
ゆっくりと柩を覗き込む。
私はもしかして、父似だったのかもしれないと、初めて思った。
白い百合の花を父の顔のすぐそばに手向けながら、手のひらに隠していた白い小さな花びらをそっと散らした。
「お父さん」
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