時間旅行

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時間旅行

「タイタニック号見に行きたいんです」 僕がそう言うと、店員はかしこまりました、と書類を差し出した。 丁寧に名前を記入してペンと共に返す。 「いつ頃ご出発のご予定ですか?」 「今すぐにでも」 僕はワクワクする気持ちを抑えながら言った。 案内されるがままに機械に入る。 「お代金は引き落としで頂きます。それでは時間旅行をお楽しみください」 店員が笑顔でスイッチを押す。 僕は目を閉じた。 お客様を見送ると、同僚が声をかけてきた。 「今回はどこ?」 「タイタニックだって」 「やっぱり人気だね」 「映画化もされてるし、まだまだ謎が多い事件だからかな」 「でも私たちは行きたくないよね」 「ね」 生きて帰れる保証はないからね。 「またですよ」 大西洋の海底で調査員が言う。 調査船の鉄のアームが白くコチコチになったiPhoneを拾い上げた。 「最近増えましたね」 「世界各地でも、古い地層から現代の物がたくさん見つかってるらしいよ」
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