ゲームクリア

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5  さて、ここで読者の皆様に説明をしよう。唐突の展開に付いていけない方も居るだろうから。  まず、俺が先生に質問した件だが別にルール違反ではない。質問者のルールは「教室内に居る人物に限り、一人一回」ということだけ。「先生に質問してはいけない」なんてルールは設定されていない。  そして、最後の俺の質問でお気付きの方も居るだろうが、俺の背中に貼ってあった動物の名前は「猿」だ。  ①「猿」は雑食。果物や魚・昆虫なんかを食べる。  ②基本、陸上で過ごすがニホンザルは温泉に浸かることが多い。それを考えれば「水辺で過ごす」と言っても別に嘘ではない訳だ。  ③大きさについてだが、猿といっても様々な種類がいて、ニホンザルやリスザルは人間よりも小さいがゴリラやオランウータンを猿に含めれば人間より大きいとも言える。  ④猿は移動する時、「」は使わない。「両手両足」を使って歩く。  ⑤ニホンザルやチンパンジーなどはあまり家庭では飼育されないだろう。しかし、リスザルなどの小さな猿は飼育している家庭も多い。  ⑥猿も種類によっては珍しいのとそうではないのが居る。ニホンザルなんかは山の中で結構見かけるが、ゴリラやオランウータンを含めれば「珍しい」と言えなくもない。しかし、岡崎にある「京都市動物園」には様々な種類の猿が居り、京都人であれば一回は必ず行ったことはある筈。その事を考えれば、珍しくないとも言える。    質問の内容を順番通りに見直していったが、。それ故、解答者側に悪意があれば「分からない」で押し切ることも可能になる。だが、ここまで来れば俺も「猿」ではないかと何となく予想がついた。  だから、「分からない」という曖昧な答えではなく、はっきりと「YESかNO」の返事を相手の口から言わせる必要があったのだ。  7つめの質問だが、「孫悟空のモデルになった動物」あるいは「豊臣秀吉のあだ名となった動物」のどちらか片方だけだと「分からない」になる可能性があった。  「孫悟空」は「西遊記」と「ドラゴ〇ボール」の二択が、「豊臣秀吉」のあだ名は「サル」と「ハゲネズミ」の二択の候補があるからだ。どちらか片方の質問では「分からない」と答えられる可能性があった。だからこそ、二段構えの質問を行い、「分からない」に逃げられる可能性を潰したのだ。  俺は自信満々に九条先生に言い放つ。 「答えは猿ですね?」  先生は微笑みを崩さずに答えた。 「正解」  彼の言葉と同時にキーンコーンカーンコーンと講義終了のチャイムが鳴った。    
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