空はどうしてあおいでしょう

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空はどうしてあおいでしょう

 空はこんなに青いのに、その色は本当は "ない" のだという。  太陽から届く光の中で一番波長の短い青が、他の色より多く空気中の分子にぶつかって光を放つから青く見えているだけなんだと。  そんなロマンチックのカケラもないことを、君はなぜか誇らしげに、よりにもよってプロポーズの直前に言ってのけた。 「肝心のその後は噛みまくりだったけどね」 「うるさいなぁ。お前が青空が好きだって言うから調べたんだよ。それに若気の至りだろ」 「まだ二年しか経ってないよ」 「もう二年だ」 「そうかなぁ」 「そうだよ。ていうか、そんなこともう忘れろって」  口を尖らせ、不満げに言う君を笑う。  そう、二年だ。  まだたったの二年。  君の下手くそなプロポーズに柄にもなく涙を流すほど感動した二年前。結婚式どうするのかな、なんて考えながら本屋で例の雑誌を気恥ずかしい思いでレジに持っていったのが一年半前。  一緒に不動産屋に行って、結局子供部屋までつくれる2LDKの家を決めたのが一年と二ヶ月前。  ──そして。
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