花火の涙

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学校を出て、校区である町中を船を押して歩く。 「そっちの高校はどんな?楽しい?」 「私、女子校やけん出会いがな〜い」 「ブレザーの制服かっこいいな。俺はまた学ランやけん代わり映えせん」 久しぶりに会った同級生との会話がはずむ。 「鐘鳴らす順番やぞ!こっち来い」 私は、鐘を鳴らす為、爆竹や花火の煙の中を通って船の前方に行く。 鐘を鳴らす金槌みたいなのを受け取って後ろを見ると先生の遺影があった。笑ってる先生の写真。 先生って、この船に乗るにはまだ早いんじゃない? 涙が出そうになるけど、我慢して鐘を叩いた。 「はい、次、大輔くんの番ね」 「おぅ……」 大輔くんは、私と入れ替わって金槌を持って、先生の遺影に「よっ」と言う感じで手を挙げて鐘を鳴らし始めた。 カーンカーンカーン カーンカーン バチバチバチバチ! カーンカーン…… カーンカーンカーン バチバチバチバチ! パン!バチバチバチ! カーンカーンカーン カーンカーンカーン…… カーン……カーン……カーン…… 「おい!大輔!いつまでお前が鳴らしよっとや!」 「……。」 カーンカーンカーン
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