イケメンは、スペックが振り切れていた

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イケメンは、スペックが振り切れていた

 俺の英語ライフは悲惨だったが、いつまでも悲嘆に暮れていた訳ではない。  見切り発車で始まった同居生活は、概ね好調だった。リックのコンドミニアムはダウンタウンの海沿いにあり、高層階の部屋からは街の夜景も海もよく見える。    家には、俺が使わしてもらっているゲストルームの他に、リックの主寝室、広いリビングルーム、ホームオフィスにしている別部屋があり、男2人でも十分広く感じる。最新式キッチンのカウンターには酒瓶が並び、ちょっとしたミニバーのようだし、スタイリッシュなリビングには大きなソファとホームシアター仕様の音響機器、壁一面を占めるスクリーンが配置されていた。 『リック、きれいな部屋。俺、とても好きです』 『ありがとう、リョータ。気に入ってくれて嬉しいよ。新しい部屋に引っ越したはいいが、スペースも余ってるし、ルームメイトを探そうかと思っていたんだ』  リックが微笑みを返す。うん、今日も安定の爽やかイケメン。ちなみにリックの言葉は、俺の雰囲気英語による超意訳だからな。  第一に、リックは気が使える男だった。なんかもう紳士、ジェントルマン。  聞けば一つ歳下の24歳で、入社2年目。この若さでダウンタウンのたぶん結構いい場所にコンド所有なんて、親がすごい金持ちかと思ったが違った。  何でもリックは、ギフティッド・プログラムとかいうIQ高めな子供が受ける教育をされたそうだ。高校の頃には大学卒業に必要な単位を取得、大学では友達と共に起業し、人工知能(AI)に関する事業で一山当てたらしい。  俺も務めるこの会社には、起業した会社を買収され、事業内容を引き継ぐ新部署の立ち上げリーダーとして採用されたとか。  顔がいいだけじゃなく、頭もめちゃくちゃいいじゃないか。リック、半端ねぇ・・・。  俺なんか、大学出て入った日系企業がとんでもなくブラックで死にかけた。    廃人にされる前に抜け出さなきゃと、外資に絞って必死で転職活動。ほら、外資だと、プライベートにも余裕あるイメージあるじゃん。  持ち前の雰囲気英語と愛嬌で、外人上役との面接も無事突破。これからライフ・ワーク・バランスを充実させていくぞ!と意気込んでたところ、海外に飛ばされたという。。うん、行き当たりばったりだな、俺。。
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