4:やはり予想通りでつまらないわ。

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「あなた達座りなさいな。ランスベルド、あなたは丸っ切り興味無いかもしれないですけど、わたくしの話を最後まで聞かないとあなたが後悔しますわよ?」  わたくしにハリセンでしばかれた時は呆然としていたランスベルドも、ラムヘルとアーレンが泣き出した頃には興味無さそうに国王の執務室……つまりこの場を去ろうとしていたので呼び止めた。 「私が後悔?」 「ええ、そうよ。それもティリアに関わる事で」  ティリアの名前を出した途端に素直に従った。やっぱりこういう所はあのバカ夫にそっくりだ。 「さて。シャリオット。ラムヘル。アーレン。随分と大きくなりました。そしてなんとか頑張って国を豊かにしていますね。王妃は元よりあなた達の奥方も頑張っているのでしょう」 「お祖母様……」 「「ベルデア様……」」  わたくしが声をかければ、3人は止まったはずの涙をまた流し出す。あらあら相変わらず困った子達ね。 「ランスベルドは興味無いのは分かってますが、先程も言ったようにティリアに関する事が有ります。無言で退出するのは勝手ですが、聞かないと後悔しますよ。それには最後までこの場にいる事、黙っている事を勧めます」  父である国王が泣こうと宰相と騎士団長が泣こうと無視して退出しそうなランスベルドに釘を刺す。また眉だけが動きましたが、うん、やっぱり少しは素直ですね。そして出て行く事をやめて偉い偉い。さて、泣き虫達をどうしましょうかね。あ、ハリセンは既に消しましたよ。取り出しも収納も簡単なんです。 「全くあなた達は、本当に泣き虫ね。わたくしが死ぬ時もボロボロボロボロ泣いて、わたくし安心して死にたかったのに」 「ですが、お祖母様」 「まぁまぁお待ちなさいな。先ずは自己紹介といきましょう。わたくしの名前は、フェミーヌ・ロウアー。シャーリー坊やから一代限りの子爵位を賜ってこの城で執務官を務めているロウアー子爵の娘よ」 「ロウアー……。ああ、なんでも凄く出来る領政官で、地方の領主に仕えるのは勿体ない、と城の執務官に紹介されたという……」  シャリオットが思い出したようにポツポツと話す。 「それはそうよ。お父様はアルメット公爵でしたもの。時に王家の盾にも監視役にもなる法務大臣を務めた方。ウッカリ本気を出して地方の領政官から城の執務官にさせられたけれど」 「では、ロウアー子爵は、アルメット公爵の生まれ変わり⁉︎」  ラムヘルが驚いた顔になる。 「ええ、そうよ。そしてわたくしとは書類上の結婚、いえ、結婚式も挙げましたわね……の、白い結婚だった夫・トーレックによって冤罪を着せられ処刑された、わたくしの父・アルメット公爵よ」  わたくしの発言に、ハッとしたのはラムヘルとアーレン。そして……シャリオットだった。 「お祖母様。やはりお祖父様が陥れたのですか」 「そうよ。当時も今もわたくしの前世の家……アルメット公爵家の事は城内ではタブーでしょう。でも、わたくしとリナベルお姉様だけは真実を知っていたわ。あれはトーレックが仕掛けた罠。そしてそれを話す事が……ランスベルド。ティリアに関わる事です」  わたくしがランスベルドを見れば、ランスベルドは冷ややかな目を向けてきました。でもねぇ、その程度の目なんて、わたくしには効かないわよ。そう思いつつ同じように冷ややかな目で見返してやれば、ランスベルドの両隣に居るホーンラムとアーズルが喉を鳴らした。
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