告白

3/4
前へ
/14ページ
次へ
「意味あったよ。助かった。楽しかったし……」 「ふうん、そう。楽しかった?」 タチバナが、こっちを見た。 リンと涼しげな一重の目で、まっすぐにあたしの目の中をのぞきこんで、そのまま視線をそらさない。 あたしは、思わずたじろいだ。 「あ、アメちゃんなめるっ?」 無駄にヘラヘラ笑顔を作り、カバンの中から、アメちゃんの小袋を取り出して、「はいっ」と、タチバナの手のひらに乗せる。 タチバナは素早く指を折り、あたしの指先をアメちゃんごとつかまえた。 「……っ!」 ささくれひとつない、しなやかな長い指。短く整えられた爪の形。 冷たい手だ。 あたしの手が熱いのかもしれない……。 そっと表情をうかがってみる。 タチバナの口角は、ほんの少し上がっている。 黒い瞳は、甘い笑みを含んで、意地悪そうに光っている。 ……あたしの反応を見て楽しんでいるの? そんなふうに見つめないで。 息が止まりそう……。 「――す、好きなの」 あたしは言った。 タチバナの目が優しくなった。 「うん。つきあおうか」
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加