目覚め~夏美サイド~

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目覚め~夏美サイド~

暗い部屋の中、誰かが消し忘れたのかテレビの音が聞こえてきていた。 有名なニュースキャスターが深刻な声で最近起こった事故のニュースを読み上げている。 そして画面は切り替わり、今度は女性キャスターが原稿を読み始めた。 「○○県、○○市で数日前から行方不明になっている佐竹明伸さんについて最新の情報です……」 ☆☆☆ 体中が痛くて、あたしは目を覚ました。 目を覚ますと同時に頭痛が襲ってきて寝転んだまま顔をしかめる。 周囲を見回してみると、ここがいつもの自分の部屋ではないことがわかった。 でもよく見たことのある景色だ。 冷たいクリーム色のリノリウムの床には、真ん中にオレンジ色の線がひかれている。 それは様々な人たちに踏まれ、すでに随分と剝がれ落ちている。 上半身を起こしてみると、右手が窓で左手には教室が並んでいるのがわかった。 3年E組という表記は毎日のように目にしている。 ここはあたしが通っている学校で間違いないみたいだ。 自分の格好を確認してみると、なぜか制服姿だった。 「なによこれ」 そう言ったのは同じくE組の生徒。
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