梓の過去~梓サイド~

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あたしはそう言うとニヤリと笑う。 早紀の顔がサッと青ざめるのがわかった。 あたしはハサミを取り出すと早紀の前髪に押し当てた。 「やめてっ!」 早紀は身を引くが、梓は許さない。 「大人しくしてよ!」 思わず怒鳴ってしうと、早紀はビクリと身を震わせて、大人しくなった。 その後はあたしの出番だった。 美容師志望のあたしの腕はまぁまぁだ。 今までだって沢山の友人たちの髪を切ってあげてきた。 どれもいい出来栄えで、みんなしてあたしに感謝してくれた。 早紀はそれを知らず、ただ自分はイジメられているのだと思い、涙を流す。 だけどあたしはそんなことはしない。 そんな幼稚な人間じゃないもの。 「ほらできた!」 ものの5分で早紀の前髪はスッキリ軽くなっていた。 「いいなぁ」 思わずそんな声を漏らす子がいて、あたしは自信に満ちた表情を浮かべる。 「切ってあげようか?」 ハサミを持って移動するあたしの後ろで、早紀はずっと泣いていたのだった。 ☆☆☆ 生存者 13名 香川 夏海 小野 早紀 長尾 凌 本間 公平
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