目覚め~夏美サイド~

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森谷梓(モリタニ アズサ)だった。 梓は金髪に近い髪の毛をクルクルに巻いた、いわゆるギャル系の生徒だ。 E組の中で一番目立つ存在だ。 近くにいたのは梓だけじゃない。 伊原マリや小野早紀といった、E組の生徒のほぼ全員がいるようだ。 あたしは瞬きをして彼らを見つめた。 彼らもまた、瞬きをしてあたしを見ている。 口々に「どうなってんだよ」とか「なんで学校?」と呟くのが聞こえてくる。 徐々に頭痛が治まってきたあたしは、壁に手をついてどうにか立ち上がった。 廊下に寝ていたため、こんなにも体が痛むようだ。 「なんでE組の生徒だけここにいるの?」 そう言って首をかしげたのは大西優香(オオニシ ユウカ)だ。 小柄でかわいらしく、ふんわりとした雰囲気の優香だけれど、今は不安そうに眉を下げて自分の体を両手で抱きしめている。 「響だけいない」 あたしは短く返事をした。 ここにいるのは13人。 E組の生徒は河野響(コウノ ヒビキ)を入れて14人だ。 その響の姿はどこにもなかった。 「どうでもいいよ。もう出ようよ」
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