66人が本棚に入れています
本棚に追加
森谷梓(モリタニ アズサ)だった。
梓は金髪に近い髪の毛をクルクルに巻いた、いわゆるギャル系の生徒だ。
E組の中で一番目立つ存在だ。
近くにいたのは梓だけじゃない。
伊原マリや小野早紀といった、E組の生徒のほぼ全員がいるようだ。
あたしは瞬きをして彼らを見つめた。
彼らもまた、瞬きをしてあたしを見ている。
口々に「どうなってんだよ」とか「なんで学校?」と呟くのが聞こえてくる。
徐々に頭痛が治まってきたあたしは、壁に手をついてどうにか立ち上がった。
廊下に寝ていたため、こんなにも体が痛むようだ。
「なんでE組の生徒だけここにいるの?」
そう言って首をかしげたのは大西優香(オオニシ ユウカ)だ。
小柄でかわいらしく、ふんわりとした雰囲気の優香だけれど、今は不安そうに眉を下げて自分の体を両手で抱きしめている。
「響だけいない」
あたしは短く返事をした。
ここにいるのは13人。
E組の生徒は河野響(コウノ ヒビキ)を入れて14人だ。
その響の姿はどこにもなかった。
「どうでもいいよ。もう出ようよ」
最初のコメントを投稿しよう!