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あたしはトゲのある声になってしまう。
こうして1人で大人しくしている子がいると、どうして輪の中に入らないのかと思ってしまう。
早紀は咄嗟に本を閉じて「ごめんなさい……」と、小さな声で言ってうつむいた。
「ねぇ早紀。みんなが楽しんでるときには一緒に楽しまなきゃ」
その態度も癪に障った。
まるであたしが意地悪を言っているように見えてしまうから。
「う、うん……」
あたしは早紀の視線に合わせて中腰になった。
早紀はあまり甘いものが好きではないのかもしれないと思いなおし、笑顔を作る。
それでも早紀の表情は険しいままだ。
「早紀って大学進学するんだっけ?」
「うん、一応そのつもり」
早紀はどうにかあたしへ返事をしているが、その視線はキョロキョロと挙動不審で、明らかに誰かに助けを求めていた。
しかし、早紀に手を差し伸べる生徒はいない。
ノリが悪い早紀が悪いのだ。
「もしかして、このまま大学生になるつもり?」
あたしは早紀の前髪を指先で触れていった。
「え……?」
「ちょっと重たいよねぇ? 性格も、見た目も」
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