三千字のラブレター

　蝉の声も騒がしく、日差しが地上の全てを焼き尽くす。遠くを見れば蜃気楼で揺れており、なぜかそれがいつもとは違うような気持ちにさせてくる。普段はやらないような大掛かりな家の片付けをしたせいか、娘や孫たちが遊びに来ていて、いつも一人で静かな家の中が久しぶりに騒がしいせいか「違う」つながりでついでにと、いつもは持たないペンなどを持ち、若かりし頃の自分に戻ったかのような気持ちで目の前のシンプルな便箋を見つめる。