囚われの身

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***  目が覚めると、想像していた――いや、想像を遥かに超えた妻の怒り顔が眼前に広がっていた。 「おかえりなさい」 「た、ただいま……」  俺はベルトを外すと、ベッドから起き上がった。妻は何も言わず、すたすたと部屋を出ていく。俺は急いで彼女のあとを追った。 「ったく、バーチャルゲームなんてハマリ過ぎるとロクなことがないんだから」  妻はぶつくさと文句を言っている。俺は亀のように縮こまる。ゲームの世界で自由を謳歌していても、所詮は、妻の尻に敷かれた立場の弱い夫である。 「ほら! 軍手!」  妻がずい、と差し出した。軍手をはめ、庭の掃除に取り掛かる。俺たちの頭上には、ゲーム内で見た景色と同じ、青い空と白い雲が広がっていた。
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