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父の傀儡になるのは嫌だった。かといって国の政について何か理想があるわけでもなく、日々必死に仕事をこなしている状態だった。
それもこれも母であるイザナミが職務を全うしていないせいで、母をそうした状況に追い込んでいるのはこれまた父であるイザナギだと思うと、いたたまれない気持ちになるのだった。
人の気持ちがわからないこのひとに、他の者を悪し様に言う資格があるのだろうか。醒めた目で父を見つめながら、ヒルメはそう思っていた。
(また、会えるといいな。きっともっとたくさんの話が出来るだろう)
涙を目に溜めながら微笑んだ愛らしい顔を思い出して、ヒルメはほんの少し温かな気持ちになるのだった。
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