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ヒルメは伴侶を迎える年齢になってきていて、周囲がざわついているのを感じざるを得なかった。
顔も知らない異国の男とめあわされるのは嫌だったが、かと言ってよく知る家臣の誰かと縁付くのも、国の政のこれからを考えるとそういい考えでもない気がしていた。
ヒルメにとってただ一つの光明は、父母が実の兄妹どうしの婚姻であったことだった。
ヒルメはとうに自分の気持ちに名前を付けていた。
自分は既にヤマトの女王になっている。伴侶は国の政を共に為せる人物でなければならない。であれば、どのようなことも相談できる相手が良い。そしてその気持ちが永遠に変わらない相手でなければならない。そんな存在はヒルメにとってはただ1人しかいなかった。
ヒルメは奥の間の寝台に座り込むと、小さく息をついた。先々のことを考えると、気持ちが萎えそうだった。
(父上はおそらく絶対賛成してはくださらないだろう)
ヤマトの王家では濃い血筋を保つことが良しとされている。従兄妹どうし、異母兄妹どうしでの婚姻は珍しくはなかった。
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