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ところがずっと共に育ってきたツクヨミを遠ざけての寵愛ぶりに、周囲は不安を掻き立てられた。ヤマトはいずれタケハヤのものになってしまうのではないか。そう考えた者も少なくなかった。
不思議なものでタケハヤを庇おうとヒルメがすればするほど、周囲はタケハヤを危険視した。何もしていないのに謗られ、陰口を叩かれる。
王家のさまざまなしきたりや作法がわからないタケハヤは、無礼でがさつでわがままな子どもだと思われていた。それを黙認するヒルメに対しても悪評が立つのは時間の問題だった。
そこで一計を案じたのがコヤネだった。コヤネは神事にも通じており、先王の懐刀だった。彼はツクヨミにいろいろなことを教える師でもあった。慕う姉に疎まれて落ち込む若い王子のためにも、タケハヤを遊学させるのが良いと決断し先王に諮った。
タケハヤを嫌うイザナギは一も二もなく賛成した。受け入れ先を探したところ、先に勢の国の王子を受け入れていた木の国が良いだろうということになった。
遊学を伝えられたタケハヤは戸惑ったようだったが、姉が自分のことを考えてくれた上なのだろうと無理矢理に納得した。
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