10章 破戒

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自分たちの行く末もだが、ヒルメとタケハヤはどうなるのだろう。自分とサルタヒコ以上に厄介な問題が山積みだった。 タケハヤが戻ってから、ヒルメはどことなく浮き立った様子だった。祭祀の途中で、祭壇に蹴つまずいたことがあり、いつもなら知らんふりをするのに、ポッと頬を染めて照れ笑いをしていた。 今まで冷たかったツクヨミとの間も最近は穏やかで、姉弟が仲良く薬草を摘んだりしている姿をよく見ることができた。 周囲の誰が見てもタケハヤとその一行が帰国したことが、ヒルメの心の安定をもたらしていると納得できた。にも関わらず、やはりその関係性を危ぶむ者もいるのだ。 まず一番の障害になるのは、間違いなく先王のイザナギであった。
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