11章 発覚

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タケハヤはまるで雷に打たれたかのように、勢いよく身体を引き剥がした。ヒルメが驚いてよろけそうになるのを慌てて力強く支えながら、タケハヤは言った。 「それは絶対ダメです」 「どうして?剣も弓も誰よりも上手だし、あなたが王になれば今厳しいことを言っている者たちもきっと納得してくれる日が来るはずよ」 タケハヤは悲しそうな顔で見つめ返してきた。 「…どうしたの?」 「俺は父上の子どもではないかもしれないのですよ。そんな俺が、ヤマトの王になるわけにはいかないでしょう」 結局母の不義の疑惑は、残ったままだった。 ヒルメとツクヨミの姉弟とタケハヤはあまりにも違っていた。顔のつくりは似ていても、性格も身体の丈夫さも違っていた。 三姉弟の中で、飛び抜けて怪力で敏捷で頑健なのがタケハヤであった。ツクヨミもあまり病気はしなかったが、タケハヤほど丈夫ではない。 何よりヒルメは腺病質で、季節の変わり目には伏せることが多かった。 子供の頃から伏せりがちな母の代わりに祭祀を司ってきたが、たびたび寝込んだり、病に悩まされてきた。
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