11章 発覚

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ヒリトメは考えた。 イザナミの時は臨月だったのでわかったのだ。目の前の少女はほっそりとしていた。お腹は平らで、胸も大きくなっていなかった。 だがヒリトメも子どもを産んだ身である。妊婦特有の一種の諦観というべきものが、高貴な少女には漂っている気がした。 これからはひとりではない。勝手気ままに振る舞うことはできない。自分はもう子どもではなくなった。責任を持って行動しなければならない。 そんな諦めにも似た気持ちが見て取れた。 「ヒルメさま、私には判断する手立てがありません。ですが、夫に相談すれば必ず良い方法を考えてくれるでしょう。ひとまずは宮にお戻りあそばすのがよろしいかと」 フトダマにも知られてしまうのか、と一瞬思ったが、ウズメに相談した段階で仕方ないことだと考え直した。 「明日、お返事を差し上げます」 ヒリトメは平伏しながらそう言った。
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