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酩酊状態になり、巫女は神の言葉を口走る。不思議と巫女たちは熱に浮かされたようになり、踊り狂ったり、奇声をあげたりする。彼女らは普段の慎み深さも忘れ、半裸になってクタクタになるまで踊るのだった。
年上の少女にきつく叱られ、少年は半ベソになった。ハッとしてヒルメはどうしていいのか分からず、男の子の手を取った。
「もっと可愛い花がある。案内してやる」
見知らぬ男の子を泣かせてしまった。その悔いと気恥ずかしさに顔も見ず、宮の奥へと引っ張っていく。
「うわあ、きれいだー」
2人の目の前に可憐な黄色い花がたくさん咲いていた。男の子は嬉しそうな声を上げた。
「これは手折ってもいいの?」
「まあ、手折っても良いが、こちらに来ると良い」
ヒルメは背が高くなった一段のところへきて茎を折った。
「これは種だ。吹いてごらん」
男の子が手に取って、花の代わりに付いたふわふわしたものを吹くと、ふわあっとそれが飛び立った。
「わあ、飛んでいく…」
男の子は地面に視線を落とした。
「この綿毛、お母さまのお部屋にも飛んでいくかなあ」
急にしょんぼりした声で言う。
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