自分と重ねて

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「僕もな、姉ちゃんの事が好きだった。本気で愛して、求婚した」  遠い目をして、昔を思い出す。 「ち、父上ッ!? では、なぜ母上と結婚を? 王族だから、村娘との結婚は許されなかったとか‥‥」  ハズレだが、なかなかに聡い息子だ。 「父親は、国王だったが、僕は物心つく前から、旅に同行していて、王族らしい教育は受けてない。だから、今も政務を忠臣に任せて、旅をしているし、旅が終わったら王位を継ぐのは‥‥」 「ボク‥‥なんですよね?」 「そうだ。勇者として、悪を挫く。凱旋して王座に就く。無理強いはしないが、そうなってほしいと僕は願って、育ててきた」 「その事に異論はありません。ボクは、ボクにできる事を精一杯します。でも、父上。質問の答えになってません」
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