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そしてしゅわしゅわが消えた頃、琴音ちゃんが驚いた顔をして、私を見ました。
琴音ちゃんが両手を広げたら、血だらけではありましたが、私の左指の傷は消えていたのです。
二人で手を洗うと、私の傷がなくなった代わりに、琴音ちゃんの左指には大きなミミズ腫れのような痕が出来ていました。
「琴音ちゃん、どうやったの?」
「分かんない……ひかりちゃん治ってって、お願いしただけ」
琴音ちゃん自身も不思議に思っているようでした。
「琴音ちゃん痛い? 大丈夫?」
「ちょっと痛い。でも大丈夫」
赤黒いミミズ腫れを右手で強く押してる様子は、確かにそれほど痛くなさそうでした。
***
それから私たちは、琴音ちゃんの不思議な力を調べました。萎れたお花に手を翳してみたり、お昼寝中の私の妹に手を当ててみたり、他にも色々、思いつくかぎり。
それで分かったのは、琴音ちゃんは誰かの怪我を治せるという事。それは動物も植物も同じという事。死んだものや、枝や茎を切られた植物は元に戻せないという事。
そして、怪我をする前に分かるという事。
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