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そして三年生になる前の春休みに、琴音ちゃんの引越しが決まりました。
その日は引越しセンターの車が来て、琴音ちゃんのお父さんとお母さんは忙しそうにしていました。
お昼ご飯を食べた後、私が一人ブランコに座っていると、琴音ちゃんが私のそばに来てくれました。
「どこにお引越しするの?」
「分からない。お父さんもお母さんも、ニコニコしてるけど、本当は行きたくない」
久しぶりに見る琴音ちゃんは、とても悲しそうな顔をしていました。
「私は怪我をしないようにしたいのに、お母さん達が『触っちゃダメ』って言うの。『見えるものだけ言いなさい』って」
前の琴音ちゃんだったら絶対怪我なんかさせなかったのに、今は“予言通りの事が起きた”と評判になっています。
「お手紙読んでくれた?」
「お手紙?」
「うん。ポストに入れたんだけど」
「ポストのお手紙は、お母さんが見てるから……ごめんね、お母さんに聞いてみる」
私は琴音ちゃんのお母さんの顔を思い出しました。昔は琴音ちゃんとよく似た優しいおばさんだったのに、今はちょっと怖い顔をしています。お手紙も、ひょっとしたら捨てられちゃったかもしれません。
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