託された物

5/5
102人が本棚に入れています
本棚に追加
/20ページ
 泣き崩れたままの叔母さんにミカエルが語りかけた。 「僕覚えてるよ。この写真。お母さんが忙しくなってからは、いつもエリス叔母さんが読み聞かせをしてくれたんだ。大好きで、いっつも真剣に聞いてた」  叔母さんは顔を上げると写真パネルを持ったミカエルを見た。 「それは……私が撮った写真。ああミカエルごめんなさい。私は愛するものを失ったと思いこんでいた。手放したのは私だったわ」  一連を見守っていた僕は、コールさんに疑問を投げかけた。 「遺言書はゴッシュさんに渡せばいい事だったんじゃ? ミカエルが成人してから開けてくれって。それに、コールさんはミカエルの誕生日を知っていたの?」 「君が知っているエリスさんはどんな人だい? 今のままでゴッシュさんに遺言書が渡ったら、きっと策を講じてしまうだろ。だからミカエル君に届くように一生懸命考えたんじゃないかな。誕生日も全ては憶測だけどね。私はただお母様の想いを信じただけだよ。それに……お母様には確信があったんじゃないかな。ミカエル君には探偵を知ってる友達想いがいるって」  コールさんの視線に、僕は顔が熱くなるのを感じた。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!