三日後に散るのを待っている

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 緑の桜の木の下で会うあの人は、なんだか新鮮だった。あの人は桜みたいなうすいピンクが似合うと思い込んでいたけれど、爽やかで瑞々しい緑色も、しっくりとなじんでいる。 「何を持ってきたの?」  僕のビニール袋に目を留めて、あの人が訊ねる。僕は中身を出した。初めて出逢った日に一緒に食べた、袋におじさんのキャラクターがプリントされたスナック菓子。 「連絡もらったときに、つい買った」 「奇遇だね」  にやりとして、あの人も提げていたビニール袋から同じスナック菓子を引っ張り出した。 「二袋もあったら、またレアなやつ出てくれないかな。何度か買ってみたんだけど、全然当たらないんだよね」  あの人はいつになくよく喋る。まるで僕から話しかける隙を与えないみたいに。その考えにふと思い至ったとき、僕の胸にさざ波が立った。思わず伸ばした手であの人の手を取ると、あの人は肩を少し震わせて、螺子の止まったオルゴールのように押し黙る。そうしたすべての挙動さえ、いとおしい。 「緊張してる?」  俯いてしまったあの人に、僕はなるべく優しい声をかけた。つないだ手から、僕の緊張も伝わればいいなと思う。 「……少し」  あの人がうなずくのを見て、僕は握った手の力をそうっと強くする。壊さないように、離さないように。
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