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「じゃあ、今日はありがとうございました。新歓コンパの案内は、今日教えてもらった連絡先に改めてお知らせします。もし興味がありそうな人がいたら、ぜひ誘って一緒に来てください」  頭を下げると、なんとなく拍手が起こった。労いというかなんというか、場の空気で何となく生まれたとしか言いようのないまばらな音だった。  同期の眞下が俺の隣で手を挙げる。 「予約の関係上、一応新歓コンパに参加する人は俺まで連絡下さい。もちろんおごりなので、気安く参加してください。正直うちのサークルに興味が無くても大丈夫です!」  今日はサークル室ではなく、サークル棟にある多目的室を借りていた。  新入生向けに普段の活動を説明するため、普段の読書会である、一冊テーマを決めて全体でやる講評を見学者に見せ、その後で活動内容などの質問を受け付けるという地味な(もよお)しだ。  文評研の部室では手狭になると悪いからと借りた多目的室に、十数人ほど見学者が来てくれて、無事読書会は終わった。  ――どれだけうちに入るかはわかんないけどな。 「もしまだ文評研の会誌貰ってない人がいたら、受け取っていってくださいね」  五條がにこやかに言って、そこに女子が近づいていった。あの子には会誌を渡しているはずだが、イケメンと話す機会が欲しかったのだろう。  そう、無事に会誌は発行された。見学者や学内での勧誘期間にうちに割り当てられたブースに立ち寄ってくれた新入生には無料で手渡され、俺たちはそれが今日の見学者に繋がったと思いこむことで、会誌に伴った苦労を報われた記憶に変換しようとしていた。  余ったものは文学フリマやら、本の評論にスペースが割かれた同人誌即売会で今後売ることになっていて、次の文評研の大きな活動は五月後半の即売イベントだ。  女の子二人が俺を見てもじもじしていた。 「何か、質問をしそびれたことあった?」  声をかけると、女の子は一度隣の友達の顔を不安そうに見てから俯いて、小さな声を出した。
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