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俺は嘘つきだ。
好きな人には嫌いと言い、嫌いな人には好きと媚を売る。
そうやって損得勘定で生きてきた。
「翔太くんの嘘つき!」
大好きだった彼女は平手打ち一つで去っていく。
「お前のことは友人として信頼していたのに。失望したよ。」
そうやって同僚は濡れ衣を着せて辞めていく。
歳をとってお金だけ残って虚しい日々。
「おじちゃん、どうしていつも一人なの?」
公園で佇んでいたら少年に尋ねられた。
「それはね、おじちゃんが嘘をついてしまったからなんだよ。」
自嘲気味に笑い、彼に諭す。
「どうして?だって嘘をついてもごめんなさいができたら許してくれるって学校の先生は言ってたよ?」
そうか、それだけで許されるのか。
思えば僕は嘘をついていつも謝ってなかったじゃないか。
「ありがとう坊や。」
「どういたしまして。」
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