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おかずは
仕事から帰ってきたユキはご機嫌ナナメだった。
「どしたん?」
仕事で嫌なことでもあったんかと思って俺はユキに尋ねた。
「あのさ」
「おう」
「ヨウタがお弁当作ってくれるのは嬉しいんだよ」
そこまで聞いてピンと来る。
今日はたまたま俺の方が早よ起きたから、昨日の晩メシの残りをおかずを詰めたんやけど……
「私にとってお好み焼きはおかずじゃないの!メインなの!というか、お好み焼きならそれだけでいいの!」
「なんでや!関西人やろうが!」
「違うし!お弁当で白ごはんにお好み焼き、それも焼きそば入りのお好み焼き一枚なんて食べられないよ!」
関西人のソウルフードを否定するとは……。
お好み焼き言うたら、おかずに決まっとるわ!
それに……
「焼きそば入りお好み焼きやない!モダン焼きと言えや!」
「知らないよ!っていうか炭水化物+炭水化物+炭水化物じゃん!
太るし!」
なるほどな、確かに付き合っていた時よりもユキは丸くなっとる。
「関西の食べ物、安くて美味しいんだもの!食べ過ぎるの!太るの!ってか、太ったの!!」
絶叫に近いユキの嘆きに、俺は笑いが止まらへんかった。
激怒したユキはジムに通い始め、そして俺のお小遣いは減らされた。
「私が痩せたらお小遣い元に戻してあげるね」
そう言うて微笑むユキに、俺は二度と彼女の弁当にお好み焼きを入れないことを誓った。
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