優里奈1

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優里奈1

「ちょっとお話させていただいてもいいですか?」  地味な格好をした20代くらいの男性がなれなれしく話しかけてきた。 「いいですよ」  出会いが欲しくて街コンに応募してみたが、いざ参加してみるとどのように振舞っていいかわからない。  周りを見渡すと、少しでも良い男性を見つけようとがつがつ話しかけている女性が多い。みんな出会いを求めて参加しているのだからある意味自然な光景なのだろうが、私はそこまで前のめりになれなかった。   「今回はなんで参加されたのですか?」 「何となく出会いが欲しくて……」  何かスイッチが入らない。  目の前の男性の容姿が悪いわけではないのだが、会話を弾ませようという気になれない。 「優里奈さんですか。素敵な名前ですね。私は光希といいます」  そう言って、男性は自分のネームプレートを指で示す。 「優里奈さんは休日何をされているんですか?」 「何って……」  どう答えたらいいのかわからない。 「逆に光希さんは何されているんですか?」 「読書したり、オンラインスクールに通ったりかなぁ……」 「しっかりされているんですね。私なんか動画見たりゲームやったりして、気づいたら一日が過ぎちゃいますよ」  いつの間にか肩の力が抜けている自分に気づいた。 「そんなことないですよ。自分も会社を一歩出たら友達とかいなくて、休日はボッチですよ。やることないから一人でできることをしているだけです」  特にひけらかす感じもなく、好感を持てる人だなと思った。  その後10分ほど会話を重ね、LINEを交換して分かれた。    合計6人ほどの男性と会話したが、光希さんの印象だけが頭の中に残っていた。
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