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光希4
11時40分。待ち合わせ時間まであと20分もある。
今日はある決意をもってデートの予定を組んだ。
「お待たせしました」
薄桃色のワンピースを身にまとった彼女が小走りでやってくる。
「なんか気合が入っちゃってね」
あらかじめ予約しておいたレストランに向かう。
レストランを出てからは、彼女のリクエストを聞いて近くの水族館に向かった。
しかし、数時間後に訪れるビッグイベントのことで頭がいっぱいであり、水族館で何を見たかほとんど覚えていない。
ようやくこの時が来た。
陽が落ちかけた浜辺で彼女と向き合い、深く深呼吸する。
緊張して微妙な間が開くが、彼女も察しているのか不自然にできた沈黙を受け入れる。
「優里奈さんと過ごしたこれまでの時間は、僕にとってかけがえのないものになりました。これからも、優里奈さんと一緒に幸せな時間を作っていきたいです」
照れくさくなって、彼女の目を直視できなくなった。
再び向き直って、決めセリフを伝える。
「どうか僕と結婚してください」
事前に用意しておいた指輪のケースを取り出す。
「えっ!こんな私でいいんですか?」
「ううん、優里奈じゃないとだめだ」
「ありがとうございます。こちらこそよろしくお願いします」
彼女は顔を真っ赤にしながら指輪を受け取ってくれた。
「よかった、受け取ってくれて。予約したイタリアンがまずくなるところだったよ」
「まあ!」
それから二人でレストランに行った後、自分の部屋に招き入れて今までになく熱い一晩を過ごした。
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