冬は必ず春になる

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冬は必ず春になる

暗い暗い闇の中。 暗闇の中で、彼らは待っている。 冬の木枯らしも、冷たい雪も この闇の中まで届かない。 闇は土の布団、 柔らかく彼らを包んで春を待つ。 人の人生も、同じ。 辛くて悲しくて、 失って、泣いて。 でも、無理しないでいいよ。 冬を越える森のように 君の心のミドリの葉が全部落ちても、 やがて枯れ葉は堆肥になり、森を育てる土になる。 君も彼らと同じ。 柔らかい土にくるまろう。 温かい土に抱かれ、春を待とう。 春になれば、彼らは土を盛り上げ、やがて芽吹く。 枯れたような冬の枝も、芽吹き新緑に変わる。 長い悲しい冬に怯えないで、 悲しい想いを抱きしめたままで 何もしなければ、何も生まれない。 悲しい時は泣いていいんだ。 でも、囚われないで。 冬は必ず春になる。 祈り、考えて動け。 春を呼びに行こうよ。 ほら、周りを見てごらん。 闇の中から雪を切り裂き、芽吹く草花。 やがて群生した花の絨毯になる。 少し遅れて新緑が、綺麗なミドリ色に染まる。 柔らかいミドリ色。 温かいミドリ色。 エメラルドに似た、自然の宝石が、春の森を作る。 さぁ、目を覚ませ。 君を照らすミドリの季節が来る。
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