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土曜日になった。   わたしは誠くんのリクエスト通り、夏らしいパステルグリーンのフレアスカートに白いブラウスを合わせた。 新調したアイロンでミディアムヘアを緩く巻き、淡いローズ色のチークとリップグロスで顔色良く仕上げた。 バスの時間を間違えて、映画館に早く着きすぎた。 初夏を告げる日差しが眩しい。映画館の最寄りのバス停を降りて、正面に広がるスポーツ公園の木陰に飛び込んだ。木々のざわめきに誘われるように、公園の中を散歩する。 5分ほど歩くと、遠くからアナウンスが聞こえてきた。 「現在のプレーは、前原(さきばら)南高校、背番号……、……田選手のトライです」 思わずぴたりと足を止める。 一部聞こえなかったけれど、コールされたのは間違いなくうちの学校名――。 わたしは球技場に向かって走り出した。 フレアスカートが広がるのも、髪が乱れるのも、もう、どうでもよかった。
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