冷たい星空の下で

1/6
11人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
12月24日。今日はクリスマス・イブだ。同時に、俺のと付き合って1ヶ月の記念日である。これからデートをするのに、待ち合わせ場所の公園のベンチに座り、スマホを確認した。 気になっている筈だ。何故、なのか。答えは至って単純。俺の仕事のだから。 別に俺は結婚詐欺師では無い。俺は裏の世界に住み着いている一概の--だ。そこに舞い込んできた依頼により、今の偽恋人に行き着いた。 名前は、美波(みなみ)という。俺より3つ年下の23歳で、そこら辺に居るOL。肩まであるツヤツヤな髪、小さな顔、パッチリとしている茶色い瞳、ぽってりとした唇、小動物を思わせる佇まい。…愛らしい笑顔。 任務の遂行は、12月24日午後9時32分35秒。失敗は許されない。 俺はその日の為の、監視として彼女と付き合う事にした。 *** 最初は依頼の遂行の為、帰宅途中の彼女に声を掛けテンプレートな告白をした。彼女は顔を赤らめて驚いて居たが、小さく頷いて了承してくれた。すぐ使わなくなるであろう連絡先を交換し、時折連絡を取り合った。 『カレー作りすぎちゃったんだけど、食べに来る?』 ある日、こんなメッセージが届いた。カレー…。好きでも嫌いでも無い料理だ。ここで、「食べない」と言ったら印象が悪くなってしまう。そうならないように、簡潔にメッセージを送った。 『食べる』
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!