数学ノートは恋の味
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思い出す――春のあの日。入学式当日。出会った頃の森田は、やっぱり今と変わらず、坊主だった。放課後、ホームルームが終わってもなんとなく余韻が抜けずに、ぼうっとひとりで席に座っていたら、彼が、話しかけてきた。 「よろしく~! 俺、森田!」 彼は、大きく笑っていた。その人懐っこい表情は、それだけで、人の暗い気持ちや憂鬱な感情を吹き飛ばしてくれるような、力強くて、温かい笑みだった。
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