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玄関に、鍵はかかっていなかった。
俺はそのまま扉を引くと、おそるおそる中を覗き込んだ。
入ったとたん異臭がしたとかいってたけど、不思議と変な臭いはせず、中に入れば、玄関ホールって言うのかな?
そこには、ホテルのパーティー会場みたいな大きな広間があった。
高い天井と、赤い絨毯。
見上げた先には、蜘蛛の巣がかかったシャンデリアがあって、その奥には、二階に続く階段。
それも、俺の家みたいな狭い階段じゃなくて、横に三人くらい並べるような広い階段。
まさに、ドラマとかで、すごい人たちが、すごいパーティーをする時でてくるような豪華すぎる玄関だった。
(スゲー……マジで、執事とか出てきそう)
昔は、お嬢様が執事とメイドと一緒に暮らしていたとかいっていたけど、ホントっぽい。
もちろん、窓はところどころ割れていて、床にはガラスの破片とか落ち葉とかも散乱しているし、古いのは確か。
でも、窓から射し込む夕日のおかげか、その屋敷は何年も空き家になっているわりには、とても、明るくて綺麗だった。
「ミ~、どこだー?」
その雰囲気に軽く恐怖心がやわらいで、俺は玄関から、ミーに声をかけた。
辺りを見回しながら階段の下まで進むと、リンと鈴の音をならしながら、階段の上から、ミーが顔を出した。
「ミー!」
よかった、無事だ──ミーの無事を確認して、パッと顔が明るくなる。
その後、ミーが階段からおりてきたのを見て、俺もミーの元にかけよった。
だけど
「ん? お前、なに咥えてるんだ?」
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