第2話 颯斗の秘密

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「ごめんな、ララ。今すぐ直してやるからな」  その後、ララと一緒に、携帯用の裁縫セットを取り出した俺は、学校から持ってきたピンク色の糸を針に通した。  ピンクの糸は、学校では全く減らない色だけど、家にあったピンク色の糸は全部使い切ってしまった。  (また買っとかないとなぁ、ピンク……)  ちなみに糸を買うのは、めっきり百円ショップ。  手芸屋さんとか、雑貨屋さんとか、可愛いものがいっぱいあるお店にも行ってみたいけど、残念ながら、男一人で入る勇気はない。  これが、おかしいのか、おかしくないのか、自分ではよく分からなかった。  心が女の子なら、自分でも納得できたかもしれないけど、男なのに可愛いものが好きって、やっぱりおかしいのかな?   そう思うと、誰にも相談できなくて、こうして隠れて、好きな裁縫を続ける日々をすごしてる。  ちなみに、俺が今日、サッカーの誘いを断ったのも、ララの服を直してあげたかったから。  ララは、昨日うちの飼い猫のミーにひっかかれて、洋服がやぶれてしまって、すぐに直してあげたかったけど、糸がなくて断念。 「ミーも、もう少し、優しく遊んでくれたらいいのに……」  軽くグチりながら、ララのワンピースを脱がすと、俺は、破れた場所を丁寧(ていねい)に縫っていく。  裁縫をはじめたころは、ボタンつけしかできなかったけど、今では、並縫い、まつり縫い、本返し縫いなど色々マスターして、洋服一着、全部自分で作れるようになった。  ここだけの話、ララに似合う服を自分でデザインしたり、アレンジしたりするのは、すごく楽しい。  自分のお小遣いの中で、布とか糸とか買うから、色々と限界はあるけど、こうして、もくもくと裁縫をしていると、更に実感する。  やっぱり俺は、裁縫が好きなんだって……   
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