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第3話 猫と人形
(ミー、どこ行ったんだ)
それから俺は、近所をひたすら走り回って、いつのまにか、二丁目から四丁目のあまりまできていた。
秋の夕方は、普段なら少し肌寒いけど、上着を着ているからか、走ったからか、逆に熱すぎるくらいだった。
(どうしよう。もし、ミーに何かあったりしたら……っ)
額ににじんだ汗を、ゆっくりとぬぐう。昔のことがあるからか、つい良くないことばかり考えてしまう。
でも、もう大事な家族を失いたくない。俺は、そう思うと、更に走る速度を早めた。
「ミー!!」
大声を上げて、ミーを呼ぶ。
だけど、それからしばらく走って、路地を曲がった先で、目の前に、大きな屋敷が飛び込んできた。
クラブ活動の時に、本田くんが話していた『お化け屋敷』だ。
(うわ……変なところに、きちまった)
荒れはてた洋館は、シンと静まり返っていて、人の気配はまったくない。
さすが、お化け屋敷!
その不気味な空気を感じとって、軽く腰が引けた。
「みゃ~」
「……!」
だけど、その時、屋敷の中から聞き覚えのある声が聞こえてきた。
慌てて目を向ければ、屋敷の庭に、ミーがいるのが見えて
「ミー!」
とっさに声をかけた。
だけど、その声に驚いたのか、ミーは屋敷の窓にひょいと飛びのると、そのまま中に入り込んでしまって
「あ、ちょ、ダメだって! 戻ってこい!」
あわてて声をかけたけど、もう遅い!
マジかよ! ミーが、お化け屋敷の中に入っちゃった!?
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