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「ど、どうしよう……っ」
さっきまで熱かった体が、一気に冷えた気がした。
冷や汗がでて、心臓もバクバクとうるさい。だけど、やっと見つけたのに、ここで見失うわけにはいかない。
俺は、ごくりと息を飲むと、お化け屋敷の前に立った。
──ギィ……
門を開ければ、錆びた鉄の音がした。なんだか、今から肝試しが始めるみたいな不気味な雰囲気。
そういえば、中に入ったら異臭がしたとか言ってたけど、死体が埋まってるような臭いってこと?
そんな臭い嗅いだことないから、想像もできないけど、だぶん、すっごく嫌な匂いなんだろうな。
(……ていうか、これって不法侵入になるんじゃ?)
庭をぬけて、玄関の前に立った俺は、ふと思った。
昔は、お金持ちが住んでたんだろうなって、言われるほどの立派すぎる玄関。
だけど、いくら誰も住んでいないからって、勝手に入るのは良くない気もして、ぐるぐる考えたけど、やっぱりミーをこのままにも出来ない。
(ごめんなさい! ミーをみつけたら、すぐに出ていきます! だから、怒らないでください! お化けも出てこないでください!)
玄関前で、パン!──と、神社で神様にお願いするみたいに手を合わせると、俺は意を決して、ドアノブに手をかけた。
──ガチャ。
(あ……開いてる)
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