La Vie en rose

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 領主様と手を組むことを決めて数日、とりあえず支援金以外にとりあえず手付金ということで、そこそこの金額を貰うことができた。  まずはそのお金で孤児院の子達に三食しっかり食べさせて、それでも余裕がありそうだったので、先日の盗品を売り払ったお金と合わせて食料を大量に買い出しに行き、久しぶりに貧民街に住む人向けに、孤児院のみんなで力を合わせて炊き出しをした。  炊き出し用の料理を作るのも、食器を用意するのも、食べに来た人達に配るのも大変だけれども、こうやって炊き出しをすれば近所の人達がいざという時に子供達を守ってくれたりもするし、あやしいやつや危なそうなやつの情報も貰うことができる。そのあやしいやつの情報の中に、領主様とおぼしきものが混じってはいたけれども、まあ、あやしいといわれればあやしいとは思うので、ありがたく情報を貰っておいた。  近所の人達と交流しながら食べ終わった食器を回収していると、妙に愛想のいい男に話し掛けられた。 「いやはや、いつも炊き出しをしてくれて助かってるけど、このお金はどこから来てるんだい? 貯めるにしても大変だろう」  お金の出所は訊かれたくないところだ。でも、なにも返さないわけにはいかないだろう。 「あー、孤児院から奉公に出た子からたまに仕送りが来たりとかするんで、それを少しずつ貯めてなんとかっていう感じかな」 「なるほど、それは感心なことだなぁ」  僕の返事に男はにやりと笑ってどこかへと姿を消す。  少し離れたところからこちらを見ていたアリスティドと視線を交わした。
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