ワールズエンド

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 もう春も近いのに、数羽の白鳥はまだ人工池にぷかぷか浮かんでいた。  餌づけ用として近くにパン屑も置いているが、ほんのわずかな小遣いを愛嬌のない鳥に分け与えてやるほど僕は優しい子どもではない。足元では小鴨が喉の奥で声を潰すように鳴いていた。四阿で年寄りが新聞を握り締めながらラジオに耳を澄ましている。
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