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「行くよ!」
今はもう、三人で暮らしている。遥と遠馬、そして、彼。
「待ってよ、姉ちゃん!」
「ほら、行くぞ」
三人は桜並木を歩いていく。
「だから、待ってって!」
先を行く遥と彼を、遠馬があとから追いかける。
彼は死んだはずだった。でも、遥と遠馬の目の前に確かにいる。遥は、それが『やくそくのたね』のおかげだと思っている。
遠馬は、まだたくさんの未来を視続けている。でも、遠馬はそのことを二人には秘密にしていた。未来は、変えられるから。
この年の桜も満開で、花吹雪がたくさんだ。その一本の桜の木の下には、一輪の小さな花が笑うように咲き誇っていた。
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