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いよいよこの時が来た。
この私、朴木真綾の10年越しの片想いに決着をつける日が。
私は現在、片想いの彼が待つオフィスビルの前に立っている。
長い髪はひとまとめにして、地味なリクルートスーツとパンプスで武装もバッチリ。会社の事業内容の下調べもしたし、質問事項も準備した。
頭の中で指差し確認を終えると、オフィス街にそびえ立つ高層ビルを見上げ、両手でパンッと頬をぶつ。
「っしゃあ!! 行くわよ!!」
気合も新たに背筋を伸ばして、いざ往かん決戦の地へ!!
……って、どうみてもデートって雰囲気じゃない? そりゃそうよ。だって私は就活真っ最中の女子大生。今日は会社のOB訪問に来ているのだから。
「城明大学の朴木と申しますが、営業1課の柳澤陸斗様はいらっしゃいますか」
あーーっ!! ドキドキするーーっ!! 心臓が口から飛び出しそう。それもまぁ、仕方がない。なにせ彼と会うのは4年ぶり。緊張しないわけがない。
チラリと壁の時計を見ると、時刻は15時30分。アポイントの16時までには、まだちょっと時間がある。そのままロビーで待つよう促されたので、とりあえずソファーに座ることにした。
待つこと10分、エレベーターから降りる人影に、私は思わず目を奪われた。
細身のスーツを身にまとい、ダークブラウンの髪の毛をサラリと流したイケメンが、私に向かって手を降ったのだ。
あれほど高鳴っていた心臓が、一瞬止まったような気がした。
今日私は、10年恋した大好きな彼に告白する。
告白して、キッパリこの恋を諦めるのだ。
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