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「は?」
言っていることが意味不明だ。
運命とか急にそんなことを言われても困る。
なにより、ガリマーは父さんのパートナーだったじゃないか。
心の中で論争が巻き起こる。
「先輩、急に言われるのはやはり混乱を招くようです」
「だよね……でもストレートに言うのが一番だと思うんだけどな」
もっと分かりやすい表現は無いのか、と先輩は頭を悩ませる。
「確かに俺は直斗のパートナーだった。でもな、上城直斗はもうこの世界にいない。パートナードラゴンは新たなパートナーを探さなければならない。本来は……記憶をリセットさせて」
横から口を出したガリマーはやけに寂しそうだった。
あんな姿は葬式ぐらいでしか見なかった。
記憶をリセットさせる、きっとそれが嫌でガリマーは逃げ出し高校へやってきたのだ。
「……楽しかったんだな、上城家は。そして、もう一度暮らしたい」
「!?」
自分の気持ちが俺に読まれたことに驚くガリマー。
だがその答えは直ぐに決まった。
決まっていたと言うべきなのかもしれない。
「楽しかったんだ。三人の中で暮らすことが」
「やっと本音が出たようだな」
その様子をただじっと見ていたサウンがほっとしたように言う。
「……上城くん。今のことを踏まえて考えて欲しいの」
「僕たち、WDに協力してくれないかな」
「……」
数秒間、俺は黙ってしまった。
脳内で父さんの姿が思い浮かぶ。
俺はガリマーにピッタリのパートナーになれるのか、少し不安な部分もある。
でも父さんのような人になりたい。
「もちろんです」
再び口を開いたときにはそう答えていた。
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