一章 出会い

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「改めて自己紹介だ。僕は九重涼。そしてこっちが僕のパートナー、サウンだ」 サウンと呼ばれた黄色いドラゴンは一礼する。 「私は白露陽菜乃。パートナーはルクスだよ」 「よろしく」 ルクスはにっこりと笑っていた。 「モニターで作業している二人は双子だ。ポニーテールの方は菱川歌(ひしかわ うた)、髪を下ろしている方は菱川舞(ひしかわ まい)だ」 歌さんは大きく手を振り、舞さんは静かに会釈した。 双子でも性格は違うんだなと感じる。 今日から頑張ろう、そう思ったときだった。 大きな警報音が鳴り響く。 「所長、大変です! 東京で街中にドラゴンが出現しました! 完全に暴走しています!」 「く……結構巨大だな。新入りに任せるのは辛いが……」 モニターに移された映像を見て所長は悩む。 「涼、陽菜乃、竜樹。出動だ!」 二人は素早く敬礼のポーズをとる。 俺も少し遅れて同じポーズをした。 「行こう!」 「ルクス、お願い!」 通常はヘリポートとして使われる屋上へと登る。 「戦闘態勢だ」 先輩が呟くと三体のドラゴンの体は大きくなってくる。 先輩と陽菜乃はそれぞれのパートナーの背中に乗る。 「よっと。本当は初心者をドラゴンに乗せる気は無いのに。竜樹、ガリマーに乗れるかい?」 「全然大丈夫です」 俺は昔たまにやっていたスポーツクライミングの容量を生かし、ガリマーの背中に乗った。 現場に行く途中で教えて貰ったことはこうだ。 被害を抑えるために上空、もしくは海で戦う。 暴れているドラゴンは弱らせて捕獲、そして一定期間保護する。 俺が理解したところでドラゴンたちはスピードを上げていった。
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