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「ただいま」
それから何事もなく、すんなり家に帰ることが出来た。
玄関のドアを開けると肉のいい香りが漂ってくる。
「お帰りなさい。竜樹、ガリマー」
母さんがゆっくりと歩み寄ってきた。
「久しぶりだな、愛」
「一ヶ月ぶりかしら? 竜樹も今日は初めてのことがたくさんで大変だったでしょう?」
「母さんこそ、急な連絡は驚いただろ?」
「本当にびっくりしたわよ、急に家電が鳴るんだもの。事故かと思って心臓がバクバクしていたわ」
それはさすがに驚きすぎ、そう思ったが声に出さないようにした。
「ちょっと休憩してくるよ、今日のご飯は?」
「ガリマーの大好きなハンバーグ。たくさん作る予定だからね」
「やったぜ!」
ガリマーは犬のようにしっぽを振る。
それだけならまだしもガリマーは俺の肩に乗っているためしっぽは俺の背中に直撃していた。
「くぅぅ……ガリマー、お前のしっぽ痛すぎだろ……」
「なに弱音を吐いているんだ? そんなんだとWDでもやって行けないぞ」
「WDってそんなとこなのか……」
ベッドの上に座り、はぁ、とため息をつく。
「ドラゴンと戦うんだ。人間なんていつも危険と隣り合わせなんだぞ。直斗だって……命を落としたのは任務中だ」
そんな事ぐらいちゃんと知っている。
ドラゴンの攻撃で倒壊した建物の下敷きになってしまった父。
救助されたが大きな瓦礫が頭に直撃していたため亡くなった。
「ガリマー、俺は父さんの代わりになれると思うか」
「そんなの俺に聞かれても困る。なりたいと思えばなれるはず。俺はそう思ってる」
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