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あれは数年前のこと。
夕日が綺麗な公園で直斗の優しさがにじみ出た。
「ガリマー、僕はね……人間もドラゴンも共生できないかって思っているんだ」
「……無理だと思うぞ、俺は正直。確かにドラゴンは苦しみながら暴走している。だが、人間はどうだ? 人間は自分に危害を加えるものは全て邪険に思う。お前は人間の敵になるのか」
「別にそんなことを言っているわけじゃない。全てのドラゴンが暴走する訳では無い。君だってそうじゃないか」
「WDのドラゴンは特別だからな」
「だから人間とドラゴンは対話でき、こうやって友好関係をもつこともできるんだ。きっといつか分かり合える日が来る。そのために僕はドラゴンの暴走の原因を探したい」
「本当に直斗は優しいやつだよ。だから俺はお前に協力する」
だが他の人間とは考えが違っているとは感じた。
「ありがとう、ガリマー」
「直斗は本当に優しいやつだった。俺は竜樹にも同じような優しさがあるんじゃないかと思っているぞ」
「……」
ガリマーにそう言われて俺は黙り込んでしまった。
改めて父親がガリマーにとって大切な存在だったんだとその言葉から分かった。
「竜樹、ガリマー。ご飯できたわよ」
母さんの声だ。
俺はベッドから立ち上がる。
「また聞かせてくれ、父さんのこと。俺の見てこなかった観点からの話が聞きたい」
「あぁ、もちろんだ。相棒」
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