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「めちゃくちゃ美味そうじゃないか!」
食卓にはデミグラスソースのかかったハンバーグと白米、味噌汁が三人分用意されていた。
「ガリマーが久しぶりに家に帰ってくるって思ったらハンバーグ、作りすぎちゃった」
確かに食卓の真ん中の大皿には山積みにされたハンバーグがあった。
「大丈夫だ。俺が食べてやる」
「でも母さん。ハンバーグなんて久しぶりじゃないか?」
「そうね……あの人がなくなってからは作ってなかったわ。ハンバーグはあの人もガリマーも大好物だもの」
母さんは微笑んでいたが、少し寂しそうに見えた。
父さんのことを話すといつも寂しそうで、こっちまで辛くなる。
「しみじみと語る前にご飯が冷める、早く食べようぜ!」
「落ち着け、ガリマー」
ガリマーの目はキラキラと輝き、まるで獲物を狙っているようだった。
「そんじゃ、いただきます」
「うんめぇ!」
「あらあら、元気な食べ方なこと。変わってないわね」
ガリマーの口元にデミグラスソースがべったり着いている。
母さんはガリマーをまるで幼い子供のように見ているように見えた。
「竜樹、どうしたの? まさかヤキモチ?」
じっとその様子を見ていた俺に母さんは聞く。
「そ、そんなことない!」
「顔赤いぞ」
右からニヤニヤしながら見てくるガリマーに怒りを覚える。
「う、うるさいんだよ!」
そう言うと自然に俺の箸のスピードが上がっていった。
「やれやれ……いいパートナーになりそうね」
ちょっと言い争いながらも俺たちは仲良く見えるようだ。
母さんは最後まで俺たちの様子をにこやかに見ていた。
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