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「竜樹、お前学校中で話題になってるぞ!」
朝一番、俺の席に息を切らしながらやってきた健人。
「話題って……なんでだよ」
「なんでって……入学当日に新入生一の美人と財閥のおぼっちゃま先輩と馴れ馴れしく話すからだ!」
WDに入ったことじゃなくて色んな人からの嫉妬、という意味で話題になってしまったのか。
なんか申し訳なくなってくるがしょうがない。
「結局、人間の嫉妬かよ」
隣にいたガリマーははぁ、とため息をついた。
「うわっ、入学式に乱入してきたやつ! こいつが竜樹のパートナーか?」
「そうだ、お前のことは昔から知っている。よろしくな健人」
ガリマーは右手を差し出す。
お、これは仲良くなれそうな感じ。
だが、健人は少し引いているようだった。
「俺のこと知っているって……意味分からねぇ」
「そうか、忘れてしまったのか。俺は覚えているぞ、あれはお前たちが五歳のとき。健人、お前は自分家から持ってきた犬用の首輪を俺に着けたよな?」
さっきまでの平和ムードはどこいった。
何だかガリマーの後ろに赤い炎が燃えているような気がした。
「なんかそんなこともあったような?」
健人はそう言いガリマーの気を紛らわす。
そして俺の耳元に近づいた。
「今思い出したけど……あいつお前の父さんのパートナーだったやつ……だな?」
「そ、その通り……やって気づいたんかよ」
「恥ずかしい話、そうだな……俺さ、あいつのこと昔から苦手なんだけど……」
「二人だけのひそひそ話は終わったか?」
ガリマーのイラついた声で健人は俺から少し距離をとった。
「過去のことは置いといて、これからよろしくな、ガリマー」
「過去のことは置いといて、だと?」
「ごめんなさい!」
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