初めて

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「おはよう竜樹、ガリマー……と、吉田くんだっけ?」 そんな茶番をやっていると陽菜乃とルクスが声をかけに来た。 どうやら早く来て委員会やらの集まりに行っていたらしい。 しかしその横で急に緊張し出す健人がいた。 「この人なんか変だよ、大丈夫?」 ルクスは犬のように鼻をクンクンさせて健人の匂いを嗅ぐ。 「こいつ、美人には弱いみたいでさ。すぐ緊張するんだよ」 「全く……焦ったり緊張したり色々大変なやつだな、健人は」 やれやれ、といった表情をするガリマーはまるで大人みたいだ。 「もうそろそろホームルームの時間だ。席に着くぞ、ガリマー」 俺と陽菜乃はそれぞれ自分の席に着く。 クラスメイトが席に着き始める中、健人は棒立ちしていた。 「緊張気味だと女の子にモテないよー」 冷やかすようにルクスは笑いながら言う。 「うるせー! なんでWDのドラゴンたちはこんな性格悪いんだよ!」 「性格が悪いんじゃねぇ。お前を冷やかすのが楽しいだけだ」 ニヤリと笑うガリマーとルクスの顔はよく似ていた。 ドラゴンにバカにされる健人が余程面白いのかクラスメイトたちが大声で笑い出す。 どんまい、と思うところだが俺も自然に笑っていた。 「吉田、なんで席を立っている? さっさとホームルーム、始めるぞ」 教室のドアが開き、岸田先生が機嫌悪そうに入ってくる。 どうやら妻と喧嘩したらしい。 なんで知ってるか? それはホームルームで愚痴っていたからだ。 今日の朝のホームルームはほとんどその話だった。
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